﻿[B7B7B7]　そのとき、樽の中に何かが浮かんだ。
ダークブラウンの髪。一等航海士の髪の
ようだった。それから、ずぶ濡れになっ
た彼のコートの肩と袖が見えた。その
人物が立ちあがると、水がしたたり落ち
た。アレグラが目にしているのは、彼女
が知っている航海士ではなかった。

　彼は男ではなくなっていた。アレグラ
を見つめ返したのは女の目だった。顔、
髪、手、体、すべてが女になっていた。
航海士の面影を残しているのは服だけ
だった。彼は、いや、彼女は柔らかな口
調で言った。「船長……？」

アマゾンの女王が言った。「彼女はわれ
われの一員となったのだ」

アレグラはベルトから魔法の火打ち石銃
を二丁抜き、偵察隊の船員たちも剣を
構えた。アレグラは女王の目を見据えて
言った。「彼女は私の最愛の人だ！
お前には渡さない！」
