﻿[B7B7B7]王の迷宮

第二章: ほつれた糸

　アレグラ船長はスカートと頑丈な革製
ベストという格好のまま、迷宮の下の
洞窟に光る糸を垂らしていった。アレグ
ラと一等航海士のふたりは、目当ての
ものに近づきつつあった。死せる不死王
の玉座の間へと。一等航海士は糸をつ
たって石の床に着地すると、ズボンにつ
いた粉を払い、アレグラを見上げた。

　絹糸は島に生息する魔法の蛾の糸を
編んだもので、よほどのことがなければ
切れない代物だった。この糸をたどれば
入口に引き返すことができる。奥深く
からうめき声が聞こえてきた。先に進む
につれ、その声はますます大きくなっ
た。王の呪われた声だ。アレグラの腕の
毛が逆立った。彼女は振り返り、一等
航海士を見た。一等航海士の目は通路
の先の暗闇に釘づけになっていた。
　ややあってアレグラ船長の視線に気づ
くと、航海士は黙ってうなずいた。