﻿[B7B7B7]　航海士はズボンのベルトに光る糸を
結びつけ、さっと敬礼してウィンクを
すると、駆けていった。

　アレグラは階段の上部を見つめて
いた。航海士はそこに現れる手筈に
なっていた――いや、待て。駄目だ！
　王は突然歌うのをやめ、階段を上り
はじめた。このままでは航海士が危な
い。アレグラは大声をあげて知らせた
かった。航海士を止めるためならなん
でもするつもりだった。王が階段を上
りきろうとしたその瞬間、猛烈な勢い
で航海士が姿を現わした。航海士は
急停止すると、方向転換して逃げだし、
王はその後を追った。
　遠く離れた通路から、航海士の悲鳴が
聞こえてきた。アレグラの手の中の糸が
ピンと張りつめ、ぶるぶると震えた。
　次の瞬間、糸はたるみ、地面に落ち
た。アレグラは糸をたどって走り、糸の
端を見つけた。切れないはずの糸は
無残に切れ、その端が彼女の手の先で
だらりと垂れ下がっていた。彼女は糸を
放り出すと、いっさんに駆け出した。