﻿[B7B7B7]月経周期：短編小説

　1939年９月１日の早朝、エッサ・
グラッツは列車の窓から外を眺めて
いた。列車は彼女の故郷の村、ポー
ランドのヴィエルニに向かっていた。
　彼女の頭は婚約者のボリスのこと
でいっぱいになり、体の奥深くでは、
卵子がつくられはじめていた。終点に
近づくと、心臓が早鐘を打った。子宮
内膜は厚く、柔らかくなっていた。
　列車から降りた彼女は、集まっていた
人々を眺めまわした。最愛のボリスは
そこにいた。パン屋の仕事着のままだっ
た。父親のパン屋での仕事を放り出し、
彼女に会いにきたにちがいなかった。
　エッサは胸の高鳴りを感じた。卵巣が
卵子を放出し、卵子は卵管を通った。
　蒸気機関の音を遮って、上空から
ヒューという音が聞こえてきた。
　暗い影が駅を覆った。エッサは爆弾
より一瞬だけ早く、最愛のボリスに手を
伸ばした。ふたりの眼と眼が合い、時間
が凍りついた。その刹那、閃光と煙が
彼を包んだ。